内からの動機付け

KNブログ

2009年10月07日 19:10

昨日に引き続き、内定者フォローについて考えていきたいと思います。

もちろん今回も、“自己成長力を高める”というキーワードを軸に考えていきます。


フォローにあたってもう一つご提案しているのが、「発見学習」の機会提供です。

これは、読んで字のごとく、自分自身で発見を体験してもらう学習方法です。

もう少し詳しく説明するならば、講師から体系化された知識を教えるのではなく、自身で仮説を立て、その仮説を検証することによって、主体的に学んでいく学習方法と言えます。

これは、以前もこのブログで紹介した、社員の動機付けの理論に基づく考え方で(件名「企業の受け入れ体制①、②」)、“内発的動機付け”をする一つの手法です。

できるだけわかりやすくご紹介するために、相対するものからご紹介すると、“外発的動機付け”とは、外部からの金銭的な報酬や罰によって動機付けしていくという考え方があります。

この動機付けの良い点は、企業の中で管理サイドにいる側には比較的楽に実施できるということ。例としては、制度やルールを決めることが上げられます。もちろん、最初に決めるのには非常に力のいる仕事になりますが、決まってしまえばそれに従わせることに注力すればいい。

ただ、この管理方法は特に80年代くらいまでの大量生産大量消費の時代には非常にいい管理方法でしたが、消費者のニーズや個人の価値観が多様化してきた昨今では、適応させるのが難しくなってきています。なぜなら、現場レベルで個々の社員が考え、多様化した消費者の価値観にあわせていく必要が出てきたから。これだけ聞くと、エンドユーザーと接する接客業や営業だけに必要なように聞こえますが、製造業の現場でも例外ではありません。消費者の多様化した価値観にあわせていくには、小ロットで高品質なものを、いかに効率的に製造していくかが必要だからです。トヨタ式のカイゼンもその際たる例です。

少し長くなりましたが、上記のような背景から、社員個々が考え、それぞれが成果を出していく方法を模索していく必要が出てきています。こういった時代のマネジメントには、たくさんの人数を管理する“外発的動機付け”ではなく、個々の自律性や知的好奇心からくる“内発的動機付け”が重要になってきます。

そして、今回紹介している「発見学習」こそがまさに、自律性や知的好奇心をかき立てるための学習方法になります。
※「発見学習」については心理学者、教育者であるブルーナー氏が提唱しています。



と、少し重々しく書いてしまいましたが、実施する方法はそこまで難しくはありません。

内定者の時期に出来ることは限られていますし、多くの接点をもてない中では、あくまできっかけを与えるというくらいしかできません。

例えば、ある会社さんがやっていたのは、内定者の身の回りにある自社商品について、調査をして仮説を提出させる。その後、実際にその仮説が正しいかの検証の作業をさせて、A4一枚くらいのレポートを提出させるというものです。

入社前の半年間でこれだけを内定者に課していましたが、内定者がこの作業に使った時間は半年の内定期間の中で5,6時間です。

ただ、これだけの作業でも、“仕事の進め方”を体験させるには十分な内容になります。


内定者のフォローをする際に留意すること。それは、前回紹介した例も、今回の例も一緒ですが、情報を一方的に伝えるのではなく、内定者自身に活動をさせるということです。

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