2009年08月19日

目的の欠落

今日は、たまたま読んでいた本が、ここ最近の記事に関連があったのでご紹介します。

著者 藤原 和博 氏
「つなげる力」


これは、リクルートから公立中学の校長になった 藤原 和博 氏 の学校教育を変革していく話なのですが、この本の記述の中に、ざっくりとこんな指摘があります。


日本の「学習指導要領」には、人生を生きる主体としての視点の欠落がある


と。

その指摘の要因として、OECD(経済協力開発機構)が行っているPISA(学習到達度調査)で定義されている3つのリテラシーを受けて、日本が学習指導要領として上げた目標に本質的な部分が欠落していることを上げています。今回は、PISA(学習到達度調査)の定義する“数学的リテラシー”と、それを受けた日本の“数学”の学習指導要領を見ていきます。

ぜひ皆さんも、読んでみて、足りない部分を考えてみてください。




◆PISA(学習到達度調査)・数学的リテラシー
⇒数学的リテラシーとは、『数学が世界で果たす役割を見つけ、理解し、現在及び将来の個人の生活、職業生活、友人や家族や親族との社会生活、建設的で関心を持った思慮深い市民としての生活において確実な数学的根拠にもとづき判断を行い、数学に携わる能力』である。



◇日本の数学の中学学習指導要領
⇒数量,図形などに関する基礎的な概念や原理・法則の理解を深め,数学的な表現や処理の仕方を習得し,事象を数理的に考察する能力を高めるとともに,数学的活動の楽しさ,数学的な見方や考え方のよさを知り,それらを進んで活用する態度を育てる。



どうでしょうか。自分はこれを読んでみて、明らかに何かが足りない気がしました。
ちなみに、高等学校の数学と小学校の算数も紹介しておきます。


◇高等学校学習指導要領・数学
数学における基本的な概念や原理・法則の理解を深め,事象を数学的に考察し処理する能力を高め,数学的活動を通して創造性の基礎を培うとともに,数学的な見方や考え方のよさを認識し,それらを積極的に活用する態度を育てる。


◇小学校学習指導要領・算数
数量や図形についての算数的活動を通して,基礎的な知識と技能を身に付け,日常の事象について見通しをもち筋道を立てて考える能力を育てるとともに,活動の楽しさや数理的な処理のよさに気付き,進んで生活に生かそうとする態度を育てる。



もちろん、これはあくまで指導要領なので、「~態度を育てる。」という文章で締めくくることにはなりますが、しかし明らかに“何のために”という目的が明示されていません。


自分は、正にここに、ほとんどの先生が「学校での勉強は“何のために”やっているのか」という問いに答えられない原因があるように思います。

そして、こういった目的の説明もなく学校教育を受けている子供は、当然、学校での勉強と社会生活の“つながり”を掴む事ができず、テストで点数をとるためだけの勉強という認識をしてしまいます。

すると、その延長線上にある就職活動も、内定をとるための就職活動となってしまうように思います。



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Posted by KNブログ at 22:44│Comments(0)教育
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